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2010年10月 アーカイブ

ジミーの奇禍・・・

ジェームズ・ディーンの死以来スポーツカーは、女心を強烈に揺さぶる役柄を与えられ、世の男どもの、何が何でも手に入れたい憧れのシンボルになりました。

ではあったのですが、昭和30年代の前半は日本全体が『戦後』に別れをつげたばかり・・。

個人の暮らし向きにスポーツカーが入り込む余地などありません。

自動車メーカー自体も、トラックの生産で利益を上げながら、せっせとタクシー向け乗用車の性能向上につとめた時期であります。

一般の家庭では、一つまた一つと、家庭電化の商品を取り入れるのが精一杯の暮らしであったと言ってよいです。

振り返ってみれば、昭和30年代の10年間ほど、個人の暮らし向きや消費態度に変化が見られた年代はありません。

国民のエネルギーは一つに固まって暮らしの豊かさを追求し、それがやがてモータリゼーションの開花へと進展するのですが、それを先導したのは池田内閣の所得倍増政策です。

車のある暮らしが、実勢として大衆化するのは40年代の初めからですが、それの予行的現象は30年代の後半から表面化していたのです。

所得倍増政策に呼応するかのように、軽自動車を含む大衆車モデルが相次いで市場に現れ、それらは乗用車普及の底辺を固めていきました。

大衆の暮らしに次第に浸透する乗用車…。

乗用車需要の拡大は、必然的に乗用車という商品の個性化意識を刺激します。

その個性化意識を充足するのはスポーツカーを措いてないのです。

30年代の後半に始まる乗用車市場の拡大は、かくて趣味性豊かなスポーツカーの誕生をも促しました。

スポーツカー顔見せ その1

昭和36年10月25日、第8回全日本自動車ショー開幕。

由来モーターショーの会場は、その時点での自動車市場の動向を最も敏感に反映します。

それ故に自動車に関係し、あるいは関心を持つ者の注目を集めます。

そして年に1度(昭和48年の20回までは毎年開催)の自動車の祭典とあって、ショーの会場はとびきり華やかな雰囲気に包まれるのを常とするのです。

その華やかな雰囲気に慣れた眼にも、第8回の会場はこれまでにないきらびやかさを感じさせました。

それもそのはず乗用車メーカー19社のうち5社の小間に、参考出品とはいえ初めて国産のスポーツカーが顔を揃え、いずれがアヤメの美観を競っていたのです。

昭和36年の時点で見れば、オートバイレースを別にして日本ではまだモータースポーツは行なわれてはいないですし、それのできるサーキットもありません。

つまりはモータリゼーションのレベルが、モータースポーツを愛好する段階にまだ達していなかった事になります。

にも関わらず、参考出品のスポーツカーに観客は群がり、羨望とも嘆息ともつかぬ熱い視線がそれに集中しました。

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